「人は脊椎動物である」という大前提
人は脊椎動物で、直立して移動しているが、多くの脊椎動物は「背骨」を使って移動している。魚は泳ぎ、蛇は這い、鳥は飛ぶ。
それくらい脊柱動物にとっての背骨は「移動」に欠かせない。
老化は背骨に現れ、その多くは重力に負けて「潰れた円背」となる。
よく腹筋を鍛えると良いと言われるが、それはそれと対となる「背筋」ありき。
背筋を鍛えず、腹筋ばかり鍛えても、背骨を直立させることは出来ず、むしろ円背を促進してしまう。
脊柱には「脊髄」という神経が通っているため、背骨に歪みが出ると神経障害に繋がることがある。
背骨を柔軟にするメリット
①頭頸部や上肢の可動域が広がる
②体幹の動きから四肢を使えるようになり、力が発揮しやすくなる
③頚椎、腰椎の負担を軽減できる
④呼吸、循環、消化器系への負担を軽減できる
⑤老化特有の姿勢を回避することができる(アンチエイジング)
▶︎具体的に背骨のどこを柔軟にするのか?
主に脊柱の6割を占める「胸椎」のある胸郭を柔らかくする。
胸椎と隣り合わせになる頚椎と腰椎は、そもそも緩い。
老化や運動不足によって胸椎が硬くなり、上手く使えなくなることで、隣り合う頚椎(首)や腰椎(腰)に負担が掛かり壊れる。
また、胸が硬くなっている状態で、腕だけ動かそうとするので肩も壊れる。
(肩こり・四十肩・腰痛・ヘルニア)
▶︎脊柱の詳細な構造
背骨(脊柱)は、その両サイドに小さい関節を持つ。(椎間関節)
また、胸郭の後面で、肋骨と胸椎も関節しており(肋椎関節)
前面においては、胸骨と肋骨が関節されている。(胸肋関節)
胸郭と肩甲骨の関係性
▶︎胸椎を柔軟にしたいなら肩甲骨を動かす
肩甲骨は胸郭に乗っていて、胸郭の動きを誘導しており、
肩甲骨と胸郭は、鎖骨を介して繋がっている。(胸鎖関節)
▶︎肩甲骨の動きの種類
①外転(背中を広げる)
②内転(背中を寄せる)
③上方回旋(腕を上げる)
④下方回旋(腕を内側に動かす)
⑤挙上(肩を上げる)
⑥下制(肩を下げる)
▶︎「関節が硬い」は間違い
"関節が硬い状態"というのは変形症のような「壊れた状態」を指す。
基本的な硬さを作っているのは「筋肉」であるため、筋肉を使って柔軟にする。
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ここまでで、ストレッチや体幹作りの重要性を学んできましたが
詰まるところ「背骨が本来のパフォーマンスを発揮できる状態か?」が
最大の鍵みたいですね。
背骨の重役を担う「胸椎」
その胸椎と肋骨・胸骨を含めた体幹部分を「胸郭」
そしてその「胸郭の可動性」が背骨の柔軟性に繋がるため、
胸郭に関連する「肩甲骨」を動かし、周辺筋肉を柔軟にすることこそが
適切なアプローチになるという理屈なんでしょう。
胸椎を含む胸郭が上手く可動しないことによって、
頚椎や腰椎といった部分に異常な負荷が掛かります。
腰椎に関しては、本来「捻ること」が得意な部位ではないので、
無理な捻り動作が続けば、椎間板や腰椎の関節(椎間関節)にストレスが蓄積し、
椎間板ヘルニアに代表される椎間板性腰痛や椎間関節性腰痛へ繋がっていきます。
「腰痛や肩こりを解消したいなら肩甲骨を動かす」
その重要性をどれだけ多くの介護士に浸透させることができるのか?
今後の大きな課題として意識しつつ、学習を進めていきたいですね。
ばやし